ボディコントロールルーム

リハビリ、ダンス、ヨガ・ピラティスにおける身体の使い方を探求しています!

ハイハイのメリットとリハビリでの活用

 

f:id:luigijazz:20210113203544j:plain

 

ハイハイはたくさんした方が良いと子育てしてからよく聞くことがありました。

なぜか考察しました。

 

 

何が良いのか

ハイハイをたくさんすることで、体幹筋群の収縮が促されて立ってからも効率的に身体を使うことができる。

 

コアを中心とする体幹が活性化されるんです。

 

結局ピラティスでもよく発していることですね。

 

f:id:luigijazz:20210113203638j:plain

 

体幹が活性化するメリット

  • 姿勢が良くなる
  • ケガをしにくい
  • 基礎代謝が上がる
  • お腹が出にくい
  • スポーツ等、全般的にパフォーマンスが上がる
  • 疲れにくくなる

 

 

ハイハイの作用

四つ這いは手と脚で体幹を支えることになります。

そしてハイハイで動くためには対側の手と脚が連動して動きます。

この連動を可能にするためには体幹筋群(コア)に力が入っている必要があります。

体幹が安定するからすぐに手脚を動かすことができます。

 

さらに持続的に手脚を床に押す力が働き、肩や股関節のインナーマッスルも活性化されることになります。

 

 

コアの腹横筋から始まる四肢インナーマッスルへの連動!

 

ハイハイを通して全身のインナーマッスルが強化されるのです。

 

素晴らしい作用です。

 

この作用はピラティスやリハビリ、ダンスにもとても重要です。

立ってこの働きを促すことがとても難しいですが、そこが面白いと思います。

 

 

ハイハイ時期が短くても気にしない

インナーマッスルはいつでも鍛えられる

ハイハイ時期が短くても気にすることはありません。筋肉の使い方による特徴が違うだけで、遊びや生活を通してインナーマッスルは働きます。

将来、スポーツやダンスの上達を目指す場合は少しずつインナーマッスルの強化を図れた方が良いでしょう。

 

 

子供による成長の差がある

人によって成長速度が異なります。身体も心も。

 

長女は10ヶ月で歩いていました。

次女は17ヶ月で歩けるようになりました。

 

同じ遺伝子でも、これだけ差があるのです。育児の関わり方も影響すると思いますが、個々によるものも大きいと思います。

 

 

ハイハイをリハビリに活かす

四つ這いからのエクササイズはまれに取り入れることがあると思いますが、ハイハイはどうでしょうか?

なかなか筋力や耐久性、障害等考慮すると高齢者には導入しにくいです。

 

お互いに少し不安もあるでしょう。

それでも可能そうな身体機能なら、インナーマッスルの強化は誰にでも適応するので僕はお勧めします。

 

体幹筋群の筋力低下による転倒や腰痛はよく見られます。

ストレッチと強化をバランス良く提供できると良いです。

 

 

おわりに

年齢に関わらず、インナーマッスルが活性化することはとても身体に良いです。自分が活性化しているかどうかがわからない方もいると思います。

実は判断は簡単です。

 

先程のメリットを思い出して下さい。

お腹が出ておらず、痛みやケガをしにくい、疲れにくい身体。

 

そういう方はインナーマッスルが活性化しています。

 

健康に悩む方はインナーマッスルを鍛える取り組みをしてみて下さい。

 

理想的な身体は自分で手に入れることができます!

 

f:id:luigijazz:20210113203722j:plain

 

手のリハビリ〜腱の滑走を促す

 

手の術後リハビリでよくグーパー練習をします。物品の操作練習や握り動作もするでしょう。しかしそれだけでは手の円滑な使い方が獲得できない場合もあります。もしかしたら腱の滑走が不十分かもしれません。

今回は手のリハビリの、腱滑走についてです。

 

f:id:luigijazz:20201224042043j:plain

 

手のリハビリとは

手の外傷や術後に手指の動きが不十分でリハビリをします。指や手首の骨折後、腱損傷術後が多いでしょう。

術後は病院でリハビリしますが、退院後は高齢の場合通院が困難で手のリハビリが終了するケースがあります。

そのため介護保険領域でも手のリハビリ技術が求められることがあります。

 

 

ofuse.me

介護保険での手のリハビリ

急性期リハを終えていることがほとんどですので、しっかりと手の動きを引き出します。

 

時期によっては骨や腱の癒合状態に注意し、無理な衝撃は避けます。

 

 

腱滑走が不十分な場合の手のリハビリ

手関節や指に可動域制限がないのに手が使いにくいケースがあります。

筋力低下も要因になるのですが、筋力があっても手が動かしにくい。

そんな場合は腱滑走が不十分かもしれません。

 

腱滑走とは

腱は筋肉の収縮により近位方向に引っ張られます。体幹に近づけば近位、離れれば遠位と表します。この筋収縮による腱の動きが近位への腱滑走。逆に筋が伸長されて腱が引っ張られることを遠位の腱滑走と言います。

最大限に近位と遠位両方向に腱が滑走することで、円滑な手指の動きが獲得できます。

 

 

腱滑走の評価

滑走不足の原因

①腱の癒着

擦り傷などで皮膚が治る際にカサブタができます。術部も同じで皮下組織が損傷するとカサブタができるように修復されます。その過程で様々な軟部組織同士が結合してしまったことを癒着と言います。癒着を取らないと腱の動きが妨げられることになります。

 

②拮抗する筋肉が硬い

拮抗筋が硬く緊張が高いと、主動作筋の働きに抵抗が加わり腱の滑走が不足することがあります。拮抗筋をストレッチしたり、主動作を補助したりして腱の滑走を促せます。

 

③筋力低下

単純に筋力低下が強いと近位への腱滑走が不足します。筋力トレーニングや、収縮を促す声がけで少しずつ腱滑走を促します。

 

 

癒着の把握

単関節で他動可動域制限がないという前提で話を進めます。

ポイントは手指と手関節の複合運動で見ることです。

 

屈筋腱に癒着がある場合

手指と手関節の複合伸展に制限が出ます。

脱力した状態から手を伸展位にすると手指が屈曲します。

 

伸筋腱に癒着がある場合

手指と手関節の複合屈曲に制限が出ます。

脱力した状態から手を屈曲位にすると手指が伸展します。

 

腱滑走の方法

なるべく早期に滑走させる

急性期には毎日傷が少しずつ修復します。癒着も毎日進行します。そのため癒着が軽度の段階から腱滑走を促し、癒着の防止に努めます。

その日に腱滑走させても次の日にはまた癒着するということが、術後2週間は頻回です。

癒着が強くなるほど強い腱滑走が求められ、痛みも生じやすくなります。早期から毎回腱滑走を促しましょう。

 

複合運動の意識

手と手指の複合運動で、最大の腱滑走を促します。

握りながら手を掌屈で、伸筋腱の遠位滑走、屈筋腱の近位滑走に、

パーで手を背屈で、伸筋腱の近位滑走、屈筋腱の遠位滑走になります。

自動運動で行い、他動的に運動を補助し可動域がまだ拡大する場合はその動きに癒着か筋力低下が認められることになります。

 

f:id:luigijazz:20201224042413j:plainf:id:luigijazz:20201224042920j:plain

 

屈筋より伸筋の強化

手は伸筋より屈筋の筋力が強いです。そのため癒着が落ち着いてからでも屈筋腱の癒着は剥離しやすいです。

伸筋の場合力が弱く、癒着が強固だと剥離に難渋します。早期に伸筋群のアプローチをすることが大切です。

 f:id:luigijazz:20201224043647j:plain

 

指伸筋の強化が特に大切

指を伸展するのに内在筋の伸展と外在筋の伸展があります。違いはMP関節にあり、MP関節も伸展させるのが外在筋です。

よく内在筋優位に指を使用し、外在筋の働きが不十分なことが見られます。手は屈筋が強くなる特性があり、MP関節を屈曲させる内在筋が強く働くためです。

 

内在筋をしっかりストレッチ(MP伸展IP屈曲)し、外在筋の収縮を促して手のバランスを整えましょう。指の外転でも少し内在筋がストレッチできます。

訓練はMP伸展してから指伸展位を保ち、手も背屈していきます。手は中間位から始め、しっかり指伸筋の筋力を促通しましょう。

指の伸展不足が手を使いにくくすることもよく見られ、手のバランスを整える手技はとても実用的です。

 

f:id:luigijazz:20201224044604j:plainf:id:luigijazz:20201224044906j:plain

 

癒着剥離はマッサージでも可能

皮膚は柔らかく指で広範囲にグリグリと回すことができます。術創部は癒着や軟部組織の硬化のためそのようには動かないことがおおいです。

患者さんも縫合部は少しグロテスクに感じ、触れるのを避ける傾向にあります。

過度に気にすると痛みではない刺激も痛みと間違えて捉えてしまい、痛みが慢性化する場合もあります。

 

術部周囲の軽度の皮膚マッサージは有効です。触れることに慣れることで、セルフマッサージを意欲的に取り組めます。

早期に皮膚マッサージを実施し、少しでも癒着改善を促しましょう。

軽く指で圧迫し、そのまま一方向にゆっくり伸長します。それを四方や八方に行い、痛みがなく創部に問題がなければ広範囲に回します。

 

その他、腱の近位滑走を促しながら遠位方向に皮膚を引っ張るようにする方法もあります。

癒着の具合を評価しながら必要なアプローチをしましょう。

 

 

ofuse.me

おわりに

人間の手はとても発達しています。手が使えることでより自分らしく生きることができます。痛みがなく少しでも機能的な手が獲得できるようリハビリしましょう。

f:id:luigijazz:20201224043811j:plain

 

生活リハビリについて~他職種との連携が重要!

 

生活リハビリをご存知でしょうか?

その名の通り、日常生活のリハビリです。僕らセラピストは生活リハビリを獲得してもらうためにリハビリテーションを提供していると言っても過言ではありません。

今回はその重要な生活リハビリについてです。

 

f:id:luigijazz:20201125205332j:plain

 

生活リハビリとは

生活動作そのものをできる範囲で自分で行うリハビリのことです。

 

人は身体のどこかに支障をきたすと入院したり患ったりします。

その支障の影響で以前できていたことができなくなることがあります。

 

このできなくったことを再獲得することがリハビリテーションの1つの目的です。

完全に再獲得できなくても、なるべく自分で満足できるようにする。

 

身体の支障によっては治療後も元の状態に戻らず、後遺症が残ります。

後遺症がありながらも、可能な範囲で生活動作を自分でする必要があります。

 

治療中から状態に合わせた生活リハビリが求められるのです。

 

 

生活リハビリの早期導入が重要

身体の支障により寝ている時間が増えると、それだけ筋力は衰えます。

普段している生活動作で人間は筋力を使っているのです。

 

筋力低下が大きいと寝起きから大変になり、ひどい場合は寝たきりになってしまいます。

なるべく早期に生活リハビリを導入することが大切です。

 

現在は術後すぐにリハビリテーションをします。

 

リハビリテーションを通して、患部を配慮した生活動作の練習をします。

 

セラピストによるリハビリ室でのリハビリテーション時間だけ生活リハビリをするのは不十分です。日々の生活の中でも導入する必要があります。

 

できる生活動作を把握して、病棟や施設、自宅でも自分で生活リハビリできる環境を整えることが大切です。

 

自分で工夫できる方は早期に自然と生活リハビリをしています。

 

自分で環境を整えられない場合は、看護師や介護士と連携して、できる生活リハビリの導入を試みます。

 

 

 

生活リハビリの段階

患部を含めて日常生活で使用を促し、可能な姿位に合わせた段階があります。

臥位 ➡ 座位 ➡ 立位

この段階で、重力に抗して一般的な日常生活動作を行います。

ポイントは可能な限り起きて、協力動作を促すこと。

できる動きはどんどん自分で少しでもすることが大切です。

 

歯磨きを例にすると、

ベッド上で実施 ➡ ベッドから起き上がり座って実施 ➡ 洗面所で座って実施

➡ 洗面所まで移動後、立ったまま実施

さらに歯磨き動作に介助を要するか、セッティングすれば可能か、口はゆすげているか等、どの動作に介助が必要かを検討します。

 

このように能力に応じた適切な生活リハビリの提供が求められます。

 

 

セラピストが行う生活リハビリ

必要な機能訓練を見定める

生活リハビリの段階を進めるために機能訓練を行います。

目的の動作ができるためにはどのような姿勢でどの部位がどう固定したり動いたりする必要があるか。筋力や関節の柔軟性が足りているかを把握し、実動作の練習を行います。

しっかりと必要な機能訓練を見定めリハビリテーションを進めましょう。

 

獲得した生活動作の確認は最小限に

例えば食堂に一人で行けるようになった場合の、その人のリハビリ時間で歩行訓練として食堂までただ歩く練習。 これはすでに獲得した歩行レベルです。自然と3食食堂まで歩くことになるため安全が確認できればリハビリでは同じ歩行ではなく、さらに高次で考える必要があります。

連続歩行距離は延ばすにはどの機能が必要か、痛みや代償動作が出てこないか、身体の使い方は良好か、安定性を向上できるか等、その動作の質を高められるアプローチが求められます。

リハビリ時間では獲得した生活動作は確認で最小限に留め、不足している機能訓練や応用練習でその動作の質を高めることで生活リハビリの段階を進めることができるのです。

 

 

生活リハビリの限界も把握する

人により後遺症のため獲得できる生活動作の限界が異なります。以前できていたレベルまで到達できない場合は目標としている動作の限界を把握して訓練する必要があります。

獲得したその人の最大限の生活リハビリを継続することで身体機能の維持を図り、生活レベルが低下しないよう維持的リハビリテーションを行います。

 

 

生活リハビリの配慮すべき要素

生活リハビリをする本人への指導

患部がある場合、どの程度動かしたり使ったりして良いかを把握していないことが多いです。機能訓練後に実際にこのような使い方はできる、しましょう、と確認と助言をすることが大切です。

 

そして無理はさせないこと!

 

過剰な身体の使い方は病状を悪化させるリスクがあります。痛みや疲労で動作が不十分な際にはリハビリで少しずつ取り組んでいきましょうと助言します。

 

f:id:luigijazz:20201125205720j:plain

他職種への情報提供

生活リハビリの段階が上がったら都度情報を提供しましょう。

環境によってはリハビリスタッフからの許可が必要なこともあります。この動きは大丈夫、このようなことができる等、緻密な情報提供が連携を強化します。

 

逆に過度な使い方を強要するスタッフも見たり聞いたりしたことがあります。

術後間もなく痛みが強いのにただ立てと指導するセラピスト、できなきゃ家に帰って何もできない等と厳しめの指導をする看護師。

 

能力に見合った適切な指導ができていないのです。そういう方は自分のケアに過ちがあることに気付いていません。

直属上司などに相談や情報提供し、少しでもその人が成長できるよう願いましょう。

 

 

スタッフの連携が必要

セラピストは最大限に患部の能力を引き出し生活リハビリに繋げます。

できる生活リハビリは状態と能力で変化するので円滑なスタッフ間の連携が求められます。

f:id:luigijazz:20201125205802j:plain


 

 

連携が難しいこともある

病院や施設により生活リハビリに対する考えが異なる場合

知人の看護師は生活リハビリという用語を知りませんでした。

知識や経験により、生活リハビリへの取り組みが全く異なるのです。

 

『病院は患ったところを治療するところ』

基本的にはそうなのですが、それだけでは人としての体力が低下します。全身の筋力が低下する廃用症候群になってしまい、患部とは別の病状が現れるのです。

しかし元の病原とは異なるのであまり意識されないことも見られます。

 

『患者を診ずに、病状だけ診ている』

 

セラピストが生活リハビリを提案しても、

『危険だからできない』

『時間がかかるのでそのような介助はできない』

と、協力を得られないこともあるかも知れません。

関わるスタッフの価値観や方針によって、適切な生活リハビリの導入がとても難しくなるのです。

 

 

介護老人保健施設のリハビリの捉え方

『老健はリハビリするところ』

もちろんそうなのですが、重要なのは生活リハビリも含めた施設生活全体を通してのリハビリです。

セラピストが20分行うリハビリだけではとても足りません。

介護士や看護師も協同してリハビリテーションを提供することが求められます。

 

 

リハビリ部門が生活リハビリを導入できる体制になっているか

 他職種との連携もですが、セラピスト間の体制もとても重要です。

リハビリテーションがリハビリ室のみの動きで終えていないか。

機能訓練や集団の体操など、リハビリ内容に偏りがある場合は実際の生活動作への介入が疎かになることがあります。

リハビリ対象者は大勢おり、リハビリ職員が必要に応じて日常生活に関わることで他職種にも生活リハビリの重要性を理解してもらうことができます。

一人で頑張っても大勢の他職種に協力を得られることは難しいため、リハ職全体で生活リハビリを意識することが大切です。

 

 

見切りをつけることも一つ

職場環境によっては導入が難しい生活リハビリ。

自分でできるリハビリやケアには限界があります。

仲間や上司に相談しても変えられない現実があるかもしれません。

 

協力が満足できるところまでいけなくとも、見切りをつけてしっかりと自分のできる最大限のリハビリテーションを提供し続けましょう!

 

 

生活リハビリの期待

生活リハビリが進むとその人の自立度が上がり、介助量は軽減していきます。最初は介護業務の負担になることもありますが、最終的には業務量が軽減しその人にとってもより良いケアになります。人が人らしく生活できることはみな少なからず望んでいるのです。

生活リハビリとケアの統一ができる体制が整っているところはとても恵まれています。体制の構築には管理職同士の協力とリハビリスタッフの情報発信が不可欠です。

なるべく多くのよりよい介護と医療が提供される世の中になることを強く願います。

 

f:id:luigijazz:20201125205838j:plain

 

神経痛の対処とリハビリについて

 

神経痛とは神経由来の痛みです。寛解する痛み、しびれ、放散痛、違和感、重怠さ、不快感…症状は多岐に渡ります。

誰にでも出現する可能性があり、痛みに悩む方も多くいると思います。

 

今回は神経痛の対処とリハビリについてです。リハビリ職じゃない方は神経痛の対処までとんで見ていただければと思います。

 

f:id:luigijazz:20201107013208j:plain

 

【神経痛の評価】

問診項目

いつからか、寛解があるか、どのような痛みか、しびれがあるか

→神経痛は経過が長く、しびれや寛解があり耐え難い痛みを訴えることが多い。痛みの質から炎症の程度を把握する。

 

視診・触診

関節の姿位、筋緊張、可動域、圧痛の有無

→圧痛があり全身的に良姿位(軽度屈曲位)を安静で保てず、緊張も高め、可動域制限があることもある。緊張の程度と筋短縮を把握する。

 

神経誘発テスト

様々な検査があるが、筋収縮や伸長などで神経を伸長したり刺激したりして症状が強まるかを診る。症状部位の痛みが神経痛なのか断定するために、神経誘発テストで確認する。

 

痛みの把握

実際には筋肉由来の痛みも混在していることが多い。筋肉を弛緩させて筋痛が減弱するか、筋肉を収縮させて神経痛が増強するか、痛みの種類と程度を把握してリハビリに活かす。

 

 

【神経痛の出やすい部位】

座骨神経、橈骨神経次いで大腿神経が多いでしょう。

 

 

【神経痛の原因】

神経周囲の筋肉が過度に収縮し、その神経に伸長や圧迫などの大きなストレスが長時間加わるため、神経が傷つき炎症して神経痛が出現します。

 

 

【神経痛の治療】

安静にて神経の炎症が治るのを待ちます。1週間〜2週間は必要でしょう。仕事が原因の場合安静を保てず長期に渡ることもあります。

 

 

【神経痛の対処】

神経痛の原因を探り、なるべく神経とその周囲筋群を休ませます。

原因が一時的な過度の運動や動作なら、とりあえずその動作を止めれば安静になります。しかしきっかけがその動作なだけであり、日常的にも過度な身体の使い方をしていると症状が出やすいです。

思い当たることがあればなるべく過剰な力の入れ方を抑えて、こまめに休むようにしましょう。ゆっくり動いて筋肉への負担軽減も図ります。

 

仕事が原因だとなかなか身体を休ませることが難しいです。日々の疲労が神経痛を招いているため、根本的な改善には疲労させない身体作りが必要になります。

人により手、腕、肘、腰、脚と症状部位が違いますが、疲労させない身体作りは共通しています。

体幹を安定させ、症状部位の負担軽減を図ることです。

特定の部位だけに力を入れるのではなく、体幹から圧を伝えます。体幹を強くするのです。

そして症状部位のある筋肉はストレッチし、過剰に使いっぱなしにしないことです。リセットして少しでも安静時間を保ちましょう。

手の場合なら使い方を工夫するだけで負担軽減を図れる場合もあります。

 

 

【トレーニング】

①帰宅後の体幹強化、プランクで腹式呼吸5回!

f:id:luigijazz:20201107013916j:plain

仕事中はなかなかトレーニングする時間が取れないと思います。忙しい方も多いので、まずは一つ自宅で簡単にトレーニング、プランクです。

床に肘から腕全体をつくようにつき、脚腰を伸ばして上体を支えます。真っすぐな姿勢を意識して保ち、腹式呼吸を5回します。

トレーニングは意識することで効果が高まります。

 

※プランクの意識と注意点

  • 腰を反らさない。なるべく身体が一直線をイメージします。
  • しっかり腹式呼吸をする。吸ったときにお腹を床方向に膨らませ、吐いたときにお腹を凹ます。吸ったときに腰が反れやすいので注意。
  • 肘から腕全体で身体を押し続けるイメージをする。肩はなるべく挙がらないよう注意。

 

まずはプランクを定着させ、体幹強化を図りましょう。最初きつい方は回数を減らしたり、休みを入れたりして調整しましょう。

 

②仕事中にも手のストレッチ

  1. 症状がある方の肘を伸ばし手の平を上に向ける
  2. もう一方の手でつかむ
  3. 上に手首を折るようにストレッチ2〜5秒

仕事の合間や手を使った後に、こまめにストレッチ。数秒でも頻回にストレッチすることで休ませながら筋肉も疲れにくくなる。

 

f:id:luigijazz:20201107014048j:plain

 

③仕事の合間に腰ストレッチ

伸びをして、身体を左右に捻ります。5秒あればできます。もっとゆとりがあれば捻る回数を増やしてお腹の捻りを感じましょう。

腰が反れないよう注意します。

 

f:id:luigijazz:20201107014134j:plain

 

 

【神経痛のリハビリ】

対処療法だけにならないよう意識します。しびれが一時的に寛解する摩るようなマッサージや物理療法です。これからをすれば一時的に利用者の満足を得られるかもしれませんが、根本解決になりません。関係作りやどうしても希望が強い場合以外は依存しやすいので避けるべきです。物理療法で改善の見込みがある場合は別ですが。

後日には症状が出現し対処療法のエンドレスになります。これで収益を上げている病院もあるように感じますが、セラピストならしっかり筋肉と関節にアプローチし身体の改善を目指しましょう。

 

リハビリでは神経痛のコントロールを図るため安静と機能訓練、環境調整を効率的に実施していきます。神経の安静と同時に原因筋群の伸長を促すことがポイントになります。

安静だけでは筋肉が硬くなり、少しの動きで伸長され神経痛や筋痛を誘発しやすくなります。

神経のストレスにならないよう筋肉へのアプローチも求められます。

 

安静

何もしなければ安静ですが、神経痛がある場合神経の安静をしっかり図れていないことがあります。

無意識に原因筋群が過緊張になり、完全な脱力ができないのです。

脱力して筋肉が弛緩することで神経への圧迫がなくなり安静状態になります。

まずは意識させて脱力と筋の弛緩を獲得すること、そしてその状態をなるべく自分でも取り入れることが必要です。

 

 

ストレッチ

過緊張な原因筋群が脱力できたら、その状態を維持しながらゆっくり伸長します。

急な伸長による防御収縮を出すと痛みが増強するのでとても注意が必要です。

ダイレクトストレッチも軽めにしましょう。強くすると神経を圧迫して痛みが強まることがあります。

原因筋群は短縮傾向にあることが多く、セルフストレッチも重要になります。脱力の緊張コントロールが図れたら、簡単に伸長できる方法を提示して自主トレ獲得に向けて練習しましょう。

 

 

筋力トレーニングと使い方

原因筋群と拮抗する筋群両方のトレーニングが必要です。

原因筋群は急な収縮を学習しており、神経も急に伸長され神経痛が出現しやすくなっています。ゆっくりと原因筋群を使えるコントロールが必要です。

 また、原因筋群と拮抗する筋力をトレーニングし原因筋群の負担軽減を図ります。日常動作で過度に使われているため神経痛が発生するため、拮抗する筋肉を使うように動作修正を図ります。

 

座骨神経痛の場合は腰背部の筋群が過緊張になっています。腹横筋の収縮を促し、腰椎の屈曲や骨盤後傾を引き出し基本動作できるよう練習が必要です。息を吐きながら動けるようトレーニングします。

寝返りや骨盤回旋で運動痛が増強する場合はしっかり脱力を図れていないためです。少しの運動幅で良いので痛みの出ない動き方を獲得する必要があります。

 

橈骨神経痛の場合は手の伸筋群が過緊張になっています。上肢全体の屈筋群をなるべく使うような動作指導が求められます。

具体的には上から物をつかまず、下から支える。肩は挙げずに前腕を固定できるようにする等です。前鋸筋を賦活し肩甲骨がしっかり使えることが求められます。

仕事柄や手のクセが原因なため、安静を図れるコントロール方法の理解と獲得が求められます。

 

 

環境調整

原因筋群の過緊張がどのような場面や動作で出現するか、生活全体を通して把握していくことが必要です。痛みが出る場面以外にも、日中の姿勢や些細な動作でも過緊張であったり、逆に伸長され続けていたり、環境面も評価しながらリハビリします。

ベッドの高さやマットレスの硬さ、座る椅子の大きさ等、日常で使用する物が適合しているか。

手を休められるクッションやキーボード前に置く肘を乗せる台など、安静を図れる物品の使用を検討するのも良いでしょう。

本人が理解して納得できる物を導入することで意識を高めることができます。

 

 

【おわりに】

神経痛の程度は個人差がありますが、放っておくと重症化し寝たきりになることもあります。痛みを慢性化しないよう対処療法ではなく、根本的な改善を図ることが重要です。

f:id:luigijazz:20201107014220j:plain

 

運動指導における体幹筋力(コア)を見る力

 

指導者は専門的な知識や技術を有しますが、それらを伝えるための指導する力が求められます。

学ぶより、伝えることがとても難しいと僕は感じます。

今回は運動指導における、見る力についてです。

f:id:luigijazz:20201022214249j:plain

 

【指導するために】

指導するということは、その時点で相手に何らかの情報を伝える必要があります。伝えるためには良好な関係作りや適切な環境も大切です。そして何より技術を指導します。

相手の能力において、

『何が足りないのか』

『どうすれば良いのか』

 

相手の能力の段階を把握して情報を伝えることで、『使えていない能力』を引き出すことが求められるのです。

 

 

【見るべきはお腹の力、コア!】

全身的なスポーツや運動において、全てに共通する要素があります。

 

『お腹の力(コア)を使えているかどうか』

 

僕はリハビリ場面、ダンス、ピラティスにおける指導をしておりますが、3つともコアの使い方がとても重要になります。

 

コアが使えているからどのような運動も精度が上がり、強く、美しいフォームになります。

健全で病気になりにくい身体になるのです。

 

 

【コアの見方】

お腹ですが、ただ見るだけでは意味がありません。

コアを使えているか、手足と力が伝達し合っているかを見ます。

 

コアに力が伝達されていない場合を『抜けている』と僕は言います。

 

抜けているとその分の力が腰や肩、その他の部位に力が伝わり、コアが担うべき力を補うことになります。この負担が続くと首や腰の疾患につながります。

 

力の伝達を見るには慣れが必要です。

 

《見る指標》

①コアの形状

②コアの安定性

③コアの可動性

 

①コアの形状

コアはあばら骨下から骨盤の底面までです。

筒状になっており、ピラティスでは『パワーハウス』とも言います。家における、基礎の部分。

f:id:luigijazz:20201022214358j:plain

家の基礎は真っ直ぐ建つことで安定します。斜めに建っていたら倒壊の恐れがありますよね。

 

人間においても同じことが言えます。

コアが真っ直ぐにバランスをとれているか。

まずは形状を見てどのようなコアになっているか評価します。

 

f:id:luigijazz:20201022214603j:plainf:id:luigijazz:20201022214640j:plain

 

・腹部の膨らみ具合

お腹が出過ぎていないかチェック。それだけでコアを使えているかまず判断できる。

 

・背骨のライン

コア全体の傾きをチェック。背骨は少し弯曲するが反り過ぎていないか、逆に潰れていないか。骨盤が真っ直ぐ起きているか判断する。

 

・胸郭の膨らみ具合

高齢者の場合、呼吸機能が低下し胸郭が硬くなりコアが上から潰れてくることがある。あばら骨すぐ下に触れて横隔膜の硬さもチェック。

 

 

②コアの安定性

本来コアは動作時に手足の力を出し切るために安定しています。

 

例えば手を前に突き出す。パンチですね。パンチした瞬間肩から前方への力が発生します。それと同時に肩以外の身体の部位が前方に行かないよう後方への力も発生します。

 

この後方への力に耐えるべき箇所がコアです。

動かずに安定することでパンチにも力が伝わります。

安定していない場合、コアが抜けている場合パンチ力に耐えられず、肩が後方にブレるでしょう。パンチが当たった場合も力が伝わりきらず、力は弱く肩から身体全体が後方にブレることになります。

 

f:id:luigijazz:20201022214807j:plainf:id:luigijazz:20201022214847j:plain

 

手足の力に耐えること、これがコアの安定性です。

身体全体を使うどんな動作時においてもコアが働くため、抜けているか、安定しているかを把握します。

 

 

歩行時にはコアの安定性が乏しいと腰がブレる様子がよく見られます。左右差がある場合もあり、弱い方への左右のブレが強まります。

 

後方へのブレもよく見られます。脚をつく度に腰が反れてしまうのです。

これらのブレは腰に負担となり、腰痛症状として現れてきます。コアが使えていない分お腹も膨らんでいることが多いです。

 

f:id:luigijazz:20201022215005j:plainf:id:luigijazz:20201022215036j:plain

 

首や肩も同様に、コアの安定が不十分だと負担がかかりやすく痛みやすい部位なのです。

 

 

③コアの可動性

コアが安定していても、固めすぎで硬くなることがあります。一見多くの動きも円滑に見えますが、必要に応じてコアの可動性も重要になります。

 

・腰背部のストレッチ

・腰背部の強さ

この2つの要素が求められます。

 

腰の筋肉は広範囲にあり、背骨や神経に密接しております。そのため、腰の筋肉が硬くなったり筋力不足になったりしないように注意することが必要です。

急に大きく屈んだり、一気に重い物を持ち上げたりしたとき、腰の筋肉が耐えきれずギックリ腰のように痛みを発することがあるのです。

骨盤を後方に倒すことで腰背部のストレッチになり、骨盤を前方に起こすことで腰背部の強化になります。

コアの一部の骨盤が必要に応じて可動することで、不意な動きや激しい動作、良いパフォーマンスをサポートしてくれるのです。

 

f:id:luigijazz:20201022215129j:plainf:id:luigijazz:20201022215202j:plain

 

【必要な指導をする】

コアを見ることができたら、不足しているところを指導します。

コアの形状に問題が有れば整えるようストレッチや呼吸が必要でしょう。

コアが抜けていることを自覚させ、必要な安定を促す。

安定できなければ補助や口頭で筋肉の使い方を指導、筋力強化や不要な動きの抑制を図ります。

良い動きを反復することで筋肉が定着し、どんどん無意識に必要な動かし方を習得します。

身体の変化を実感できればチベーションが高まり技術も少しずつ高まります。

段階に応じた必要な指導をするためには、相手を見る力が求められるのです。

f:id:luigijazz:20201022215242j:plain

 

このエントリーをはてなブックマークに追加