座位バランスとは
座位バランスの評価には、座位姿勢と動き、立ち直り反応や保護伸展反応の評価があります。姿勢が保てている、前傾できる、反応が出ている等結果で評価を終わらせるのではなく、なぜこの反応がこの時にどの程度出るのか、具体的に機能レベルで現象を評価することが大切です。座位バランスの評価について説明します。
評価項目と結果
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座位姿勢 ~ 端座位、体幹座位、長座位、あぐら等姿位が保持できる。
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動的座位 ~ 前後・上下・左右の周囲にリーチができる。
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立ち直り反応 ~ 頸部・体幹・四肢が重力や抵抗に抗して反応できる。
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保護伸展反応 ~ 立ち直り反応を超えて、咄嗟に四肢を支えに使える。
現象の評価ポイントとアプローチ
★矢状面で見ること!
前額面で左右差を見るのはすぐにわかります。ポイントは前額面で見て体幹筋群をどの程度使えているかです。重心の位置と姿勢アライメントを把握します。
★出てほしい現象を誘導
結果が安定するように姿勢を調整します。安定するのは正中位より少し前傾です。正中位より少し前傾に姿勢アライメントを近づけることで、腹筋群の持続的な筋収縮を促し、座位バランスが向上します。
【座位姿勢】
姿位を重心とアライメントで機能的に評価します。
・静止できれば屈筋と伸筋群が協調して収縮
・正中位より四方どこかに傾きが強ければ、その方向に筋肉の収縮が優位
・支えなしに保持できなければ体幹筋力不足
【動的座位】
最大リーチ範囲を重心とアライメントの位置から体幹・上肢機能の協調性を見て機能的に評価します。(ベッド上端坐位とする)
・左右のリーチ
①on elbowで少し前傾できるときに最大リーチ。体幹筋群(特に伸筋群)の伸長性と上肢支持性良好。
②on handは可能、on elbow困難は体幹筋群の伸長性不足。
・前下方のリーチ
①足底前方まで、両手で最大リーチ。下肢への荷重、体幹の固定保持良好。
②片手を支えにしなければならないとき、体幹伸筋群の筋力不足。
③足底まで重心を寄せられない場合は体幹伸筋群の伸長性不足、股関節の伸長性不足。
・後方のリーチ
骨盤後傾・体幹回旋・伸展の複合動作を最大可動域で最大リーチ。体幹筋群の協調性良好。3つの運動のどこが不足かで体幹機能を評価する。
骨盤後傾:腹横筋の等尺性収縮力を評価。
体幹回旋・伸展:胸椎レベル、腰椎レベル、胸腰椎連動での運動か判断。この複合動作は胸椎レベルで大きい。腹筋群の筋力、柔軟性、体幹伸筋群の協調性を評価。
・上方のリーチ
骨盤前傾・胸腰椎伸展の複合動作、アライメントは少し前傾で最大リーチ。
腹筋群と伸筋群の協調性良好。前傾か後傾、骨盤、腰椎、胸椎でそれぞれの運動と筋力を評価。
【立ち直り反応】
動的座位のリーチから正中位に戻れるかを評価。体幹の筋力のみで立ち直れるか、上肢の補助が必要か、頸部の運動もあるか。
【保護伸展反応】
座位バランスを崩す強度の外乱に対して反応が出現する。立ち直り反応の強度と上肢の俊敏性を評価。
★アプローチのポイント
腰椎が屈曲(後弯)しているかを把握する。呼気による腹横筋の収縮で腰椎の動きを引き出し、胸椎や骨盤の動きを連動させると座位バランスは向上する!
応用を考えて実践する
座位バランスが評価できたら、立位や歩行レベルでも同様な反応が出現しているか、どこが不足するか評価の幅を広げましょう!