関節可動域訓練時にとても大事な存在です。
運動軸がズレていると痛みが出やすく、筋の伸長も不十分なため可動域拡大しにくくなります。運動軸について説明します。
関節が動くとき、支点となる中心とそこを通る運動に対する垂直線。それが運動軸と言えます。
関節運動は『滑り』、『転がる』ことで動きます。(関節の形状にもよるが、今回は分かり易いため指接間関節を例にする)
ここで大切なことは、運動軸が常に運動に対してズレていくことを把握することです。
《運動軸のズレとは》
①『滑り』時にその方向へ運動軸がズレます。
②『転がり』時は関節面に沿ってズレます。
③軟部組織が硬いと捻転方向にズレます。
《ズレの調整方法》
★ズレの調整のポイント
・筋肉を緩める。
・腱を緩める。
・関節包と靭帯を緩める。
・関節をしっかり固定する。
・関節面に近いところを把持する。
関節周囲の軟部組織はなるべく緩めることです。運動と共に伸長される組織が出てくるのでその都度緩めます。
★軟部組織と全体をひとくくりにしないで望む!
今はどの組織を緩めていると自覚すること。必要なところを緩める。伸長される組織が多く、広範囲なほど痛み刺激が入る。ポイントを絞って一つ一つ緩めることで、最終的に筋肉を伸長できる。
★調整方法
軟部組織は軽くもみほぐすようにマッサージ。油を挿すようなイメージで、関節周囲にゆとりを持たせます。線維に沿って皮膚をズラしたり、線維がゆとりを持てるように軽く押したりします。筋肉は硬ければ筋腹からダイレクトストレッチしましょう。硬い刺激不足な関節は血管が拡張して周囲が温かくなります。
①『滑り』
滑る方向に、骨をズラす。軟部組織にゆとりが有ればスムーズにズレます。ゆとりが少なければ骨端を把持してゆっくり押したり戻したりして滑りを引き出します。
②『転がり』
転がるところまで来れば、筋の伸長を促します。筋にゆとりが有れば少しの外力で転がります。ゆとりが少なければゆっくり移動軸の骨端を押して筋の伸長を促します。それでも関節運動がガチッと止まる場合、関節包を含む靭帯組織が硬化しています。何回も軟部組織のマッサージや伸長を繰り返して少しずつ良くなることもありますが、長年かけた拘縮を解くのはリハビリでは困難です。そこまでの可動域をしっかり自動運動できれば良いです。
③捻転方向のズレ
関節周囲の軟部組織が硬いと第3のズレが出現します。一軸性の関節でも関節にあそびがあるため、わずかですが捻じれます。捻じれは関節面と運動軸の方向がズレるため、関節面に対して大きなストレスになり痛みを誘発します。硬い軟部組織が運動を妨げており、無理に運動するとその組織が刺激され痛みます。運動軸を整えながら、少しずつ運動を行う必要があります。
《まとめ》
関節運動の際に生じる運動軸のズレについて説明しました。ズレの特性を把握することで効率良く機能訓練ができます。関節に応じたズレや軟部組織の特徴を理解し、リハビリに活かしましょう!