ボディコントロールルーム

リハビリ、ダンス、ヨガ・ピラティスにおける身体の使い方を探求しています!

ポジショニングで神経痛を対処

はじめに

ポジショニングとは、その人にとって安楽な姿勢で、活動に支障をきたさないように姿勢を整えることです。

 

とても奥深いポジショニング。

 

今回ポジショニングで大腿神経痛を改善できたので報告します。

 

ポジショニングの基本

・楽になるための軽度屈曲位

・活動の妨げにならない

・継続しやすい

 

様々なケースとパターンがありますが、大切なことは上記の3点です。

 

楽になるための軽度屈曲位

楽になるとは、力み過ぎず姿勢保持がしやすい状態。呼吸がスムーズにできる状態です。

軽度屈曲位とは、全身の関節が少し曲がった状態のこと。人間の体は力を抜くとだいたいこの軽度屈曲位に落ち着くようになっています。筋肉や神経が無理に引っ張られたり、圧迫されたりせず安定します。

 

活動の妨げにならない

ポジショニングをするにあたり、大小様々なクッションや固定具等を使用することがあります。姿勢が安定しても身動き取れないくらいになっては意味がありません。能動的に動ける姿勢を意識します。腹筋を中心とした体幹筋群が働きやすいよう意識することで、手脚の連動を促し動きを引き出すことができます。

 

継続しやすい

その場で一度ポジショニングをしても、その後の生活で普段通りに戻ってはほぼ意味がありません。ポジショニングを継続できる環境設定が必要です。

時には介助職員や看護師に伝達したり、ポジショニング方法を紙面にして貼ったりすることもあります。連携はとても大切ですが、理解を求めるには十分な信頼関係や必要性を他職種に説明する必要があります。労力を要しますが根気強く頑張りましょう!

大まかな環境調整は上司や仲間と協力して整えることが近道ですが、そのような環境下でない場合も多く見切りをつけることも必要です。

自分のできる最大限の行動を行いましょう!

 

継続できる一番効率的な方法は本人に行ってもらうことです。その際には目的と方法をしっかりと提示し、理解していただき具体的な方法を実践してもらい確認できると継続しやすいです。身近な物を使用して簡単簡潔にできるようアドバイスしましょう!

 

ポジショニングの事例

今回の事例は脊柱管狭窄症術後で腰痛が慢性化し、現在屋外歩行は歩行器で5分程度可能なレベルの方です。日中は腰痛増悪するためほぼ臥床しています。座位の持続時間は疼痛のため短く体幹筋群の筋力低下が顕著に見られます。介入当初は全身伸筋優位でほぼ胸式呼吸のため、室内5メートル歩行するだけで脈拍が120まで上昇し、とても疲れやすい状態でした。

 

それでも少しずつ活動が安定傾向にありましたが、夜間に左脚が痛み眠れなくなるとの訴えが聞かれるようになりました。

 

まれに一人で歩行訓練をし過ぎて後日痛みが出現することがありました。そのパターンかと思っていましたが違うようです。詳細を聞くと、臥床してからしばらくすると左大腿外側が強くしびれて痛むとのこと。

安静姿位で痛むということは、局部の圧迫や狭窄によることが多いです。

臥床姿勢を再現してもらうと、右側臥位で骨盤後傾、両脚は大きく曲がっています。さらに左脚の方が屈曲角度が大きく、左膝は床に接地していました。

過度な股関節の内旋、屈曲位により大腿神経痛を誘発していたのです。

もともと腰痛のため全身的に屈曲傾向ではありましたが、過剰になったようです。

 

痛みの要因を伝え、左脚は右脚に揃えること、可能なら脚の間にクッションを挟めるようポジショニング指導をしました。大腿神経が牽引されないことを意識します。

 

その後から、夜間の痛みの訴えはなくなり安眠できるようになりました。

 

おわりに

様々なポジショニング方法がありますが、効果を実感できるためには根気強さも必要です。ただクッションを使うだけではなく、ポジショニングによって何をどう変えたいかを考え、実行していくことが大切です。

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