ボディコントロールルーム

リハビリ、ダンス、ヨガ・ピラティスにおける身体の使い方を探求しています!

バレエダンサーのための膝痛対策

 

 

バレエを続けていて膝や足首が痛くなったり、ケガしたりしてダンスに十分取り組めない方は、少なからずいるのではないでしょうか?

 

美を追求するバレエは稽古の頻度も多く、身体の使い方にエラーがあると関節や筋肉に疲労が蓄積してしまいます。

 

稽古を続けるためにも、身体のメンテナンスや使い方を意識することはとても大切です。

 

その一助になれば幸いです。

 

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【膝が痛くなる原因】

膝へのストレスが過剰なためです。バレエの場合、多くの原因が『ターンアウトが不十分なため』です。

 

足は外側に頑張って開いているから、ターンアウトできている、していると思う方もいるかもしれません。

 

しかし足首だけではターンアウトになりません。

ターンアウトは股関節からしないとダメです。

 

太ももからしっかり開く!

 

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【ターンアウトの確認方法】

膝の皿の向きで確認することができます。

 

1番ポジションで立っているとき、膝が外側に向いていること。

そしてその方向に足が開いていること。

 

膝の皿よりも大きく足が開いているのはNGです。

 

その場合はむしろ足を膝の方向に合わせるように少し閉じましょう。

 

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【ターンアウトの重要性、関節と衝撃の理解】

膝と足の向く方向が違うとなぜダメか。

関節と衝撃について理解する必要があります。

 

・関節について

人間の関節は部位によって、動き方に靭帯による構造上の制限があります。

 

膝より足首の方が左右にも大きく動きますよね。股関節はさらに大きく動かせます。

大きい分関節の衝撃を広範囲に吸収することができます。

一方膝は関節の制限が強いため衝撃の吸収も同じく関節が動く方向にしか衝撃吸収できません。

 

・衝撃について

そして衝撃は一方向に働きます。

なるべく衝撃に対して拮抗するように力を働かせないと力を抑えられません。

 

大きなボールが転がってきたら止めるためには前に回り込んで全身使って支えますよね。

 

腕だけではなく、身体も前傾して、脚も片方は後ろから支えるように踏ん張ると思います。

 

全身的に同じ方向に力を働かせる必要があります。

 

つまり、バレエでは膝が衝撃吸収できる曲げ伸ばしの方向に足首も股関節も使わないと効率的に衝撃吸収できないのです。

 

 

・ジャンプの衝撃

例えばジャンプの着地時に生じる縦方向の衝撃は足先から足首・膝・股関節と伝達してボディでもバランスをとります。

 

足首や股関節は広範囲に動きますが、膝は一方向です。膝の動きに衝撃吸収方向を合わせないとその部位に負担が増すことになります。

 

過剰に関節に負担がかかり続けると関節を構成する筋肉や靭帯、骨等の組織を傷つけ、痛みとなるのです。

 

 

【膝を効率的に使うターンアウト練習法】

関節の運動方向を同じにするために膝と同じ向きにターンアウトが必要です!

 

最も大切なことは、プリエでターンアウトできていること。

 

脚全体を曲げるプリエはバレエでは欠かせない動きです。そのプリエにエラーがあると膝への負担が増してしまいます。

 

①プリエ

先程説明した1番ポジション同様、プリエした際も足先と膝の向く方向を同じにしましょう。

 

グランプリエでもです。

 

脚が深く曲がるに連れて膝が内側に来やすくなります。無理に曲げず、ターンアウトを維持できるところでコントロールしましょう。

 

しっかりターンアウトを意識して、上体を引き上げ股関節から調整しましょう。

 

足首、膝、股関節が外側の同じ方向に向いていることを確認してプリエします。

 

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②ルルベ

確認できたらルルベもしましょう。脚が伸びているときも、常にターンアウトです。内もももしっかり力が入るとナイスです。

 

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③片脚プリエ

次に、片方をタンデュにして、軸脚だけでもプリエが正しくできているか練習しましょう。

 

両脚よりも片脚だと体重を支える力が増すので、よりターンアウトの強さが必要になります。

 

軸脚プリエでお尻の筋肉の働きを感じましょう。

 

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④アラベスク

軸脚のターンアウトが安定したら、動脚のターンアウトです。

前と横は意識しやすいですが、難しいのは後ろです。

 

股関節は前と横には動きやすいですが、後ろには少ししか動きません。

 

後ろに高く上げるにはターンアウトして、みぞおちから脚を突き出すように身体全体を使う必要があります。

 

脚だけで頑張ると膝が曲がってしまい、脚のラインが乱れてしまいます。

 

アラベスクやアントルラッセが綺麗に見せられない方はこのパターンです。

 

低くて良いのでラインを意識して、ターンアウトしてみぞおちから繋げて脚をコントロールしましょう。

次第に高く上げられるようになります。

 

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【最後に】

ケガや痛みはダンス表現を阻害します。もしかしたらダンスを辞める原因になるかもしれません。どんなダンスでも良い、ダンスという素晴らしい表現の自由を多くの人が気軽にできる環境を僕は望んでいます。大人になっても、高齢になってもダンスを通して楽しめる、そんな人が減りませんように。

 

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