筋緊張をしっかり理解しないと的確な機能訓練になりません。
『痙性・固縮があるから亢進している』
学校ではこの程度しか教わった記憶がありませんが、それだけの理解では当たり前ですが不十分過ぎます。
根本から理解できるようにしましょう。
筋緊張とは、筋肉の緊張状態を評価するのに使う言葉です。
例えば、みんなの前で立って発言する場面。
ガチガチになった経験誰でもあるのではないでしょうか?
そのときの硬めている筋肉の状態も筋緊張亢進です。
逆に入浴後のリラックスして全身だらんとして休むとき、緩んでいる筋肉の状態は筋緊張が低下しています。
痙性や固縮がなくとも誰にでも筋緊張の評価はできるのです。
むしろ、痙性や固縮がある方は普段の筋緊張にプラスしてそれぞれの症状が出ています。
判別して緊張を落とすことで筋の伸長性拡大を図りましょう。
ここで説明したいのは誰にでも共通する筋緊張状態です。
関節を動かす際、筋緊張が低下していないと可動時に筋の抵抗が加わり関節運動の妨げになります。
この筋緊張が低下している状態、筋が完全に弛緩しているところから可動域訓練は開始しないといけません。
過緊張状態である程度関節を動かせても、過緊張な筋肉が無理に伸ばされることになり、筋肉自体は対して伸長しません。
他動運動=筋のストレッチにならないのです。
どう弛緩していると判断するか!
重力に抗していないか、です。
例えば肩を動かすのに上肢を持ったとき、弛緩していれば上肢の重みを感じとることができます。重みを感じとれず、持った姿位で関節を少しでも固定する力が入っていれば緊張が残存しています。
これが単純なようで難しい。人によっては力が全然ぬけないとか、受傷部位で勝手に力んでいるとか、色々なパターンがあるからです。
弛緩状態にするのにコツがあります。
①機能的姿位にする。
②脱力するよう口頭指示する。
③緊張している筋肉や周囲の組織をマッサージする。
①機能的姿位
軽度屈曲位です。この姿位は主動作筋と拮抗筋の緊張バランスが整うようになっています。
②脱力
機能的姿位で脱力を促すだけで緊張が低下し、筋肉が伸長します。
③マッサージ
まだ緊張が残存していれば筋肉が短縮していると判断しさすります。必要であればもみほぐすようにマッサージをして、弛緩状態にします。
それでも弛緩しなければ筋の収縮を促します。少しの動きで等尺性収縮し、脱力させます。力が入ることで抜きやすくなります。
大切なことはこれらの工程をただやるのではなく、五感で感じとって必要な手技を行うことです。
そうすることで緊張を的確に判断し、関節運動に移ることができるのです。
完全な弛緩状態を引き出すことは機能訓練の土台ですので、しっかりマスターしましょう!